ディズニーのせいで夫婦が二重人格になった話
「今度ディズニーランドに行くよ」
その一言から我が夫婦の二重人格生活は始まった。
2歳の我が子は初めてのディズニーランド。
ミッキー、ミニーの存在は知っていたけれど、初めて動く彼らに会えるということで大興奮し、
「ねぇミニーちゃん」
と、唐突に私をミニーちゃんそのものとして話しかけてきた。
『なぁに♡』
つい反射でミニーちゃんのモノマネをしてしまったことから、それを喜んだ我が子によって私の母とミニーの二重人格としての生活がスタートしたのだった。
普通に母子として話していても
「ミニーちゃんおはよう」
とふられれば、ミニーちゃんとしてモノマネをしながら会話しなくてはならない。
それが家だろうが、外だろうが、保育園の先生の前だろうが。
イヤイヤ期真っ最中の我が子なので、拒否などすればバチギレられる。
赤の他人はもちろん、保育園やママ友の前でミニーちゃんのモノマネをさせられるこの状況。
二歳児に私の胆力が試されている瞬間である。
その度に心を無にし、イタコの如くミニーちゃんを我が身に降臨させた。
人の目を気にして控えめに小声でやると、容赦なく
「大きな声で!」
と怒られるのもイヤイヤ期ゆえの厳しさである。
特にミニーちゃんのお呼び出しがかかるのが私に叱られた後。
「ねぇミニーちゃん。あのね、怒られたの」
『そうなんだ♡悲しかったね♡でも◯◯はよくなかったわ♡』
ミニーちゃんは必ず一度共感してくれるので、心を落ち着ける仲介役として降臨させているのだろう。
なもんだから、ミニーちゃんは絶対に怒らないもの、聖人のような生き物という認識だったらしい。
ある日、ミニーちゃんが降りてきている時に悪いことをしたので叱ったら
「……???!?!!!?ミニーちゃんが…怒った…」
と、初めて火の存在に出会った動物かのような、信じられないほど驚いた顔をしていた。
夢を壊してしまったのかもしれない。
でもミニーちゃんだってご飯が出来たと呼んでいるのにずっと遊んで言うこと聞かなかったら怒るよ。多分。
一方、パパはミッキーとして二重人格を要求されていた。
やつの肝っ玉は大したもので、スーパーでも他の人の存在に臆することなく
『そうなんだね?ハハッ!!!』
『楽しいね!ハハッ!!!』
とふつーにでかい声でミッキーとして子供と会話していた。
すげぇ。恥とかそういうものを越えた境地に到達している彼を見て久しぶりに尊敬した。
その後初めてのディズニーランドに訪れ、グリーティングは外れたので遠目からショーを拝むことでミキミニと出会えた我が子。
ミニーちゃんへの憧れが強まったらしく、
「ミニーちゃんは◯ちゃん(自分)!」
とミニーちゃんの人格は我が子そのものにうつった模様。
「パパはミッキー」
パパの人格は変わらず。
え、じゃあ
「ママは???」
「んーーー……あり!!」
あり!!!!!
蟻!!!!!!
せめて、同じディズニー仲間のバグズライフのあのアリだよね?と思いたいところだが、我が子はまだあのキャラをしらない。
これから我が家はミッキー、ミニー、昆虫としてのリアルアリの3人でやっていきたいと思います。
ミッキー「ハハッ!!僕ミッキー!!」
ミニー「私ミニー♡」
アリ「……。」
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